新ルールの適用は「2026年4月1日以降の認定日」からです。すでに扶養に入っている方については、毎年秋〜冬に行われる被扶養者確認(検認)のタイミング(多くの場合2026年10月〜12月頃)から順次適用となります。
5. ワンポイントアドバイス
アドバイス①:労働条件通知書を今すぐ見直す
被扶養者認定の判定には「労働条件通知書等の労働契約内容が確認できる書類」が必要です。現在お使いの通知書に、時給・所定労働時間・所定労働日数・賞与の有無・時間外労働の有無が明確に記載されているか確認しましょう。
特に「時間外労働の有無:時間外労働はない見込み」などの記載を入れておくと、新ルール適用時に扶養認定がスムーズになります。
アドバイス②:パート・アルバイト採用時の説明を整備する
「うちで働いたら扶養から外れる?」と心配する求職者は多いです。労働条件通知書の賃金設計を明確にしたうえで、「契約書通りに働けば扶養に入れます」と説明できると、採用競争力が格段に上がります。
アドバイス③:通勤手当の扱いに要注意
新ルールでの収入計算には通勤手当も含まれます(所得税上は非課税でも)。月1万円の通勤手当であれば年12万円が収入に加算されます。「時給×時間で計算したら大丈夫」と思っていても、通勤手当を足すと130万円を超えてしまう——というケースがあるので注意が必要です。
アドバイス④:健康保険組合加入企業は「組合ルール」を確認
協会けんぽの場合は今回の通達がそのまま適用されますが、健康保険組合(組合健保)に加入している企業は、組合が独自のルールを設けている場合があります。必ず加入している組合に確認してください。「通知書を出せばOK」とは限りません。
アドバイス⑤:事業主証明(年収の壁・支援強化パッケージ)は引き続き使える
繁忙期などに一時的に収入が増えた場合に使える「事業主証明」の仕組みは、今回の改正で恒久化されました(従来は「当面の間」の暫定措置)。ただし、連続して2回を超えるような常態的な収入超過への適用には注意が必要です。
6. よくある経営者からの質問(Q&A)
Q1. 今すでに扶養に入っている従業員の家族には、いつから新ルールが適用されますか?
A1. 2026年4月1日より前からすでに扶養に入っている方については、2026年4月1日時点では新ルールは自動的には適用されません。翌年度以降に行われる「被扶養者確認(検認)」のタイミングから適用となります。多くの保険者が秋〜冬(10〜12月頃)に検認を実施しているため、実質的には2026年末の検認から新ルールが適用されるケースが大半です。
Q2. 労働条件通知書がない場合や、書面が古い場合はどうなりますか?
A2. 労働契約の内容が確認できる書類がない場合は、新ルールを適用することができず、従来どおりの収入証明書や課税証明書による判定になります。せっかくの制度変更を活かすためにも、書面の整備が重要です。また、古い通知書のままでは賃金記載が現状と乖離している可能性があるため、契約更新のタイミングで通知書を最新化することを強くおすすめします。
Q3. 賞与が出た年は扶養が外れてしまいますか?
A3. 賞与は労働契約上「支給額が事前に確定していないもの」であれば、原則として年間収入の計算には含まれません。ただし、「必ず〇〇円支給する」と契約書に明記されている場合はその金額が含まれます。また、賞与を含めた実収入が130万円を大きく超えた場合でも、「社会通念上妥当な範囲」であれば認定の取消しは不要とされていますが、この「妥当な範囲」の具体的金額は厚生労働省から公表されていないため、判断に迷う場合は加入している保険者(協会けんぽ・健康保険組合)に都度確認することをおすすめします。
Q4. 今回の改正は、税法上の扶養(103万円・123万円の壁)にも影響しますか?
A4. 今回の改正は社会保険上の被扶養者認定に関するもので、所得税・住民税の扶養控除には一切影響しません。社会保険と税法の扶養は別制度です。従業員への説明時に混同しないよう注意してください。「残業しても扶養から外れない」という話はあくまで「健康保険の被扶養者認定」の話であり、税法上の「103万円の壁」は別途存在します。
7. まとめ